No.1246: りかちゃん決死行
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2009年03月30日の日記の概要
薬屋りかちゃんを読みたいよぅ
りかちゃん決死行
そのときの私は疲れていた。
ずっと勉強尽くめで、他にはなんにもしていないような状況が続いていたからだ。
普通ならば、そういうとき人は、種族保存の原始的欲求、
すなわち性的欲求が擡げるのだそうだ。
だが私の中に擡げた欲求は、妙なことにやけに具体的で、
且つなんの脈略もないもので、
「無性に薬屋りかちゃんを読みたいよぅ!」
という特殊なものだった。(ちなみに薬屋りかちゃんとは、かつてコミックHighで連載されていた、どう見てもニッチな内容の漫画である)
いや、脈略がないことはなく、本屋によると決まって、
「薬屋りかちゃん」
という薬学生なら反応してしまいそうな題名が目に入っていたからである。
「そうか…りかちゃんは薬屋なのか。でも、国試前に漫画はなぁ…」
以下、幾週もの間、訴えを続けられるも私は見過ごしてきたのである。
世にも珍しい、薬剤師漫画
冒頭の前振りはさておいて、新井葉月による薬剤師漫画、「薬屋りかちゃん」をご紹介したいと思います。
前述のように、薬剤師国家試験を受験する数週間前から、書店を歩くたびに何故か見つけてしまう、「薬屋りかちゃん」。
出版社はコミックハイ!というところ。知る人ぞ知る、といった感じだが、他には「ひとひら」などで有名な出版社である。
普通に書店を歩いていても、恐らく見つけられないはずのこの本がやたら目に止まるので、国試が終わった日(3月8日)にとうとう買ってしまった。もう、これから先の薬剤師(取得見込み)人生、この漫画を避け続けて生きていくことは困難だろうと悟りをえんばかりに追い詰められて、買ってしまった。
そう、薬剤師漫画は少ないのである。
医師漫画が充実しているわりに、薬剤師漫画はめったに目にしない。
医師の方が倫理的に漫画にしにくいはずなのに、先人(ほとんどBJ)のおかげでおおかた開拓されていて、かなり自由に描かれている感がある。
薬剤師漫画はなぜ流行らないのか。
薬の名前って、かなり中学生とか好きそうだし、クラスに一人ぐらいは「ハルシオン」とか語り出したら止まらない子とかいそうですよね?もしかしてただの偏見ですか。
小学生とかもドラクエの呪文感覚で唱えたり……、こう……「キシロカイン!」とか「ドグマチール!」とか如何にもな名前が多いですよね。敵全体に120与えそうですよね。後半でも頼りになる「無属性」呪文かも知れないですよね。もちろん医学部受験から企業まで、どんな面接でも安心でしょう。
あと、絶対に共感してもらえると思うんですけど、「セロクエル」
もうどこからどう見ても、堕天使。語尾がエルなら絶対に天使です。
私の天使ランキングの中では、セロクエルはかなり上位にいます。ガブリエルぐらい。
そうやって薬とか薬剤師を漫画化して、子供とかにも流行らせたいじゃん。
そうしたら、もっと薬剤師や薬局が何やっているか伝わると思うし。
くそぅ……広告制限とか商標とか、大人の事情さえ無ければ……!!
おっと、せっかく今回は文体を整えようと意気込んで執筆(笑)していたのに、いつの間にか熱く語り口調で書いてしまった。ここで軌道修正を図ろうと思う。
ここまでの文章を冷静に振り返ってみると、セロクエルを小学校に広めても、薬学教育に繋がるとは到底思えない。勢いとは恐ろしいものである。今度からは、書きたい内容をよく練ってから文章を書こう。
とはいえ、そんな縛りの中でも、薬屋りかちゃんは、薬剤師の業務、薬局の日常をかなりのびのびと描いていたように思う。その分、描写や展開が優しくて、ぬるいと指摘されることもあるようだが、私は全2巻でここまで描ききっている点を評価したいとおもう。可能ならば、続きを読みたいと思うのだが、実は、この作者は現役の薬剤師でもあるので、あまり早い次回作、というのは期待できないのかもしれない。
結語
つまり何が言いたいかというと、「薬屋りかちゃん」という作品を読んで、
薬剤師が主役の漫画は少なくて貴重なので、読んでいて新鮮だった
薬局の日常を描いていて、興味深かった
「商品名」や「広告制限」という障壁が存在するため、薬剤師漫画は成立しにくい
という、3点である。(強引にまとめた!!)
今後も、このような内容は堅いけれど、楽しくて、作者の冒険心が感じられる、斬新な作品に出会いたいと思う。
謝辞
実は、ここまで文章を読んで頂いた皆さんにお伝えしないといけないことがある。
お気づきの方(某ゲームブランドに詳しい方々)もいるかと思うが、「りかちゃん決死行」には元ネタがあるのだ。
その名も、「リカちゃん決死行」。
そのままである。
今回の文章は、かつてKeyの麻枝准さんが運営していたウェブサイト、Flaming Juneのテキストコンテンツ、エッセイのひとつとして公開されていた、「リカちゃん決死行」という文章に着想を得て、自分の日常には「リカちゃん」は居ないだろうか、と胸に手を当てて内省した結果、今回このような記事を書くに至ったのである。早い話、冒頭部分で文章をぱくりました。ごめんなさいでした。
色々書いてきたけど、結局は、パロディ先行の企画(ガイドライン板のような改変ネタ)をひとつ書いてみたかっただけである。
ご精読、ありがとうございました。
参考文献
[1] エッセイ「リカちゃん決死行」
Flaming Juneは消失しているので、リスペクト麻枝准の内容を参考にした。また、リスペクト麻枝准の内容は、有志によりFlaming Juneから葉鍵板に2000年に転載された内容をさらに転載、収載したものである。