No.643: Cisplatin
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2006年08月02日の日記の概要
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.大学院の過去問で錯体が重要そうだということが分かったのと、英語に慣れないといけないということが実感できた。
今日の題名にある化合物は、私が浪人時代に電車の中で初めて見た抗がん剤の名前だった。
その当時は癌とはどういうものなのか、どうすれば防げるのか、またこの化合物が抗がん剤である理由がなんなのかなど理解しようとしていなかった。
それよりも興味を持ったのは、あの金よりも高価とまで言われる白金がこの化合物に含まれていることに気が付いた。
大学受験の頃にはPtを含むような化合物を扱うことがなかった。
その目新しさに魅せられたのも薬学部を選ぶきっかけの一つになったのかもしれない。
構造を見れば分かるが、Cisplatinは広い意味での錯体である。
通常、錯体と言うと無機化合物を中心にして有機化合物が配位している構造を思い浮かべるが、広くはそうでなくていいらしい。
北里大学では1年生の冬以降に無機化合物や錯体の講義を行わないと聞いたので、この辺りは自力で頑張るしかない。
話をcisplatinに戻す。
Wikipediaに拠れば、cisplatinががん細胞の分裂を阻止する機構は次のように書かれている。
Mode of action
Cisplatin acts by crosslinking DNA in several different ways, making it impossible for rapidly dividing cells to duplicate their DNA for mitosis. The damaged DNA sets off DNA repair mechanisms, which activate apoptosis when repair proves impossible. The trans isomer does not have this pharmacological effect.
Most notable among the DNA changes are the intrastrand GpG adducts which form nearly 90% of the adducts. Other adducts include inter-strand crosslinks and nonfunctional adducts that have been postulated to contribute to its activity. Interaction with cellular proteins has also been advanced as a mechanism of interfering with mitosis, although this is probably not its main action.
作用様式
Cisplatinは DNA に数通りの異なる形式で架橋するため、急速に分裂している細胞に対して有糸分裂の前段階である DNA の複製を阻害する。損傷を受けたDNAでは修復機構が働くが、修復不可能な場合には apoptosis が惹起される。trans isomerにはこのような薬理効果は無い。
DNAの変化の中で最も顕著なものはintrastrand GpG adductsであり全体の90%近くを占める。その他の架橋構造にはinter-strand crosslinksとnonfunctional adductsがあり、cisplatinの活性に寄与していると考えられている。. 細胞内proteinとの相互作用も有糸分裂を阻害する働きを高めるが、恐らくこれは主な作用ではないと考えられる。
The adduct is the product of a Lewis acid-base reaction.
intrastrand GpG adducts DNA1本鎖内架橋
inter-strand crosslinks DNA2本鎖間架橋
postulateとか初めて見たw
化学用語は何とかなるけど医学用語はまだまだ…。
それはそうと、当然のように催奇形ありなんだよね。